ペースメーカー感染
ペースメーカー感染はポケット感染のみでも
リード抜去を行わないと感染を繰り返す可能性があります
リード抜去の対象疾患
- ペースメーカー感染、ICD感染、CRT感染などすべてのデバイス感染が対象となります。
- リード断線、MRI対応デバイスへの変更希望時も対象となり得ます。
ペースメーカー感染、
デバイス感染とは
- ペースメーカーを始めとした心臓植込み型デバイス留置後に生じる感染症であり、
ポケット感染と全身感染の2つのタイプがあります。 - ポケット感染とは、ペースメーカーが入っている部位(ポケット)が赤くなったり、
腫れたりする病気です。 - 全身感染はリードに菌がつき、発熱、悪寒などを認めます。
- ペースメーカー感染は敗血症に進行すると、命に関わる危険性が高くなります。
ペースメーカー感染の治療方法
ペースメーカー感染は点滴治療では治りません。ペースメーカーの本体とリードを全て体内から摘出する必要があります。しかし、植込み手術から長年経過したリードは、血管内で癒着をしており、簡単には取り出すことが出来ません。
以前は心臓外科的手術によりリードを摘出しておりましたが、現在では経皮的リード抜去術により心臓を切開することなく治療することが出来るようになりました。
当院では、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医、看護師などの多くの職種で構成されたハートチームで経皮的リード抜去術と開胸抜去術のどちらが適しているかを話し合って決定しています。
経皮的リード抜去
ペースメーカーリードが留置されている血管(鎖骨下静脈)からシースを挿入します。レーザーシースとメカニカルシースを使用し、血管との癒着を剥がしていきます。癒着がなくなれば、慎重に牽引してリードを心臓から外して体外に取り出すことができます。
レーザーシース (GlideLight)
回転式メカニカルシース (Evolution®︎)
経皮的リード抜去の
メリットとデメリット
ペースメーカーリードが留置されている血管(鎖骨下静脈)からシースを挿入します。レーザーシースとメカニカルシースを使用し、血管との癒着を剥がしていきます。癒着がなくなれば、慎重に牽引してリードを心臓から外して体外に取り出すことができます。
メリット
胸を大きく切開することなく、また人工心肺を使用しなくて済むことから身体への負担が少ないのが特徴です。
デメリット
リードの癒着が強いときは摘出が困難なことがあります。また、心臓の中に菌の塊が生じていたり、弁膜症が生じているときは経皮的リード抜去は不適です。
そのような場合は、従来の開胸術での抜去を必要とします。経皮的リード抜去において、血管損傷や心筋損傷などの重篤な合併症は約1-2%で生じます。